2024/04/04 20:55


私は小さな頃から人形が嫌いでした。


母が飾ってくれた立派なお雛様。でもわたしは『怖いから早くしまって』と言っていました。


お友達の家には立派なフランス人形がありましたが、これも遊びに行く度に怖い!と言っていました。


亡くなった祖母は詩人でしたが人形作家でもありました。布で作ったような人形からビスクドールのようなものまで色々な素材で人形を作っていたようで、母の話ではけっこうファンもいたようです。


なので祖父母の家にもかなりの数の人形があったのですが、やはり私は怖がってそれらをよく見ようとも思いませんでした。


なぜそれほどまで嫌っていたのか?と考えてみると冷たいイメージ、キツイ目、硬い、無機質、空虚といったワードが浮かんできます。


大人になってからも人形に対するそのマイナスイメージは変わることなく続きます。私の師匠の作った羊毛フェルトの妖精さんに出会うまでは。


私が20代後半のころ、当時友達のハンドメイド作家さんのワークショップに出入りしていたのですが、そのお友達であったのが師匠の田村一花さんでした。

お友達に師匠のやってるワークショップに行ってみない?と誘われたのがきっかけ。


そこで師匠の作る妖精さんに出会いました。


それまでのイメージを覆し、羊毛の妖精さんからは暖かい、柔らかくて優しい印象が伝わってきました。ファンタジー本を読んで育ったわたしは妖精という見えない存在にも惹かれたし、この人形は怖くない!と思ったのでした。


これは羊毛フェルトという素材の特性が大きく関係しています。羊毛フェルトで人形を作るには専用の針を使ってかなりの硬さまで固めていく必要があります。

けれど、どれだけ固めてもどこか柔らかい印象がでるのが羊毛フェルトで作るお人形の最大の魅力なのです。


加えて師匠の作る妖精さんは語りかけてくるような、非常に生き生きとした魅力を感じました。


あんなに嫌いだったはずの人形に、わたしは一目で虜になってしまったのです。